バス停

ゆりかごは遠くにあって手を伸ばす理由もなくて夏が去ってく セミたちの声にまぎれてから笑う そんなあなたがやっぱり好きだ 木陰から顔を突き出すバス停よ 優しい街に連れてってくれ 光から逃れるために明日な…

動機

夢を見て夢が破れて夢のなか夢にまでみた夢の世界よ 夏空を誰も見上げず笑ってる ノートの隅が日のあたる場所 あの夜を小瓶に詰めて朝が来ることを嫌がるまぶたに塗った 鐘の音が響いていると君は泣く カーテン…

花火

新しいファミマが街に増えるたび居場所をひとつなくすのは誰 容疑者と呼ばれた夏も青空で入道雲が威張っていたな 斎場の灯りがついた夜にだけ許しあうこと許してほしい ビブラートできない鳥は殺してもいいんだよ…

仮説

間の抜けた顔で剥き出しの惰性をかじる君のまつげに浮く汗 「星座って孤独を繋げてできてるの」君の仮説を葬り去ろう 舌の根も乾かぬうちに発車ベルが聞こえたから旅に出ましょう シャボン玉は壊れるためにあると…

春待ち

嘘つきは美しい花になるはず四月ごろには桜が咲くし 萌芽とはつまり悪意の目覚めだという仮説なら否定しておく 缶コーヒー片手に君を待っていた路地の氷がみたび張るまで クリスマスソングが世界を急かすから自転…

(非)日常

幼な子の見上げる空を飛ぶ蝿の祝福の辞など誰も知らない 瞳から落つる涙を受け止めるためだけに傘を持ってきました 生きている間限定の感覚に溺れぬわけが見つからないわ 左手の薬指には約束が血管を殺し巻きつい…

わがまま

ドキドキはもうしないかもしれないが安定感は誰にも負けない 決断をするときいつも背を押して風さえ吹かしてくれるから好き 口下手もここまでくれば芸術で冬が来るのは貴方のせいだ 枯れ葉舞う日に貴方がそばにい…

萌芽

ともし火の揺れるほうへと進んだらあなたが飾ってある植物園 たどり着く場所に双葉が生えていて間違いないと確信をする 手のひらの上で踊った枯葉ならつい先だって地球になった あなたたちいつか地獄へ堕ちるわよ…

boo!

似たような顔をしているあなたがた 個性という字を書いてみなさい 笑うより笑われるほうがよほどいいことに気づけぬ愚かなbabe ヴォージョレの解禁を待つ者たちがすでに倉庫にしまったハロウィン ジャケット…

柔らかい熱持つ肌に触れるのが罪になること伝えておくね 好きな色の花を探しているけれど手に入ったらば枯らしてしまう 憂鬱はお湯をかけると白くなる 冬の吐息がそうあるように 身勝手をちゃんと叱ってほしいの…