カテゴリー: 短歌

1 葉桜にレンズを向ける強がって目を背けてた日々にさよなら 2 燃えさかるつつじに両手突っ込んで「お前らを漢字でも書けるぞ」 3 愛という際限のない重力に負けてしまった路傍のポピー 4 菜の花は目に優…

1 a.k.a 笹塚心琴 自意識を溶かすため強いハイターを買う 2 「新宿は嫌い」って言う人にだけ酸性雨が降り注げばいいな 3 青色の肉じゃがピンク色の空　ヘッドフォンから真鯖の悲鳴 4 いっせーの、…

1 明るいとサーチライトに意味はない大至急なにか思い悩めよ 2 明るいとサーチライトに意味はないけれど四月よ油断しないで 3 四月には二種類あって新しい靴を履くのは幸せなほう 4 四月には二種類あって…

1 無ってほら蕪にとってもよく似てる草冠を編んであげるよ 2 頬撫でる春風は暗い思い出を捨て去るためだけに吹けばよい 3 あの人の好きな季節が巡り来てチューインガムを吐き出す舗道 4 金星に桜が咲くと…

1 殺し屋の履歴書「特技」の欄に「箸を正しく使える」とあり 2 「お仕事は？」「殺しを少し」笑われる　人を笑顔にするお仕事です 3 唐揚げにするためにもも肉に包丁を立てる（練習がわりにもなる） 4 帰…

1 やがて夜サーカス団の解散後ひとり花びら数えるピエロ 2 舞い落ちる花弁に気づくいのちとは終わるからこそ尊いのだと 3 壊廃ののちに見上げた花曇り部屋の隅っこの古い地球儀 4 テーブルの一輪挿しに薔…

1 虹を見るカニバリズムはリズムだと言い張るきみとまた虹を見る 2 空に虹となりにきみがいることと六切りパンの精緻な厚さ 3 生まれたら死ぬからねえと指先の羽虫に向けるあわいまなざし 4 ガーベラのま…

1 多様性個性潰して整列の上達順に卒業してく 2 号砲を鳴らした人が先生と呼ばれてる（もう笑わせないで） 3 自尊心だったボロボロのサムシング引きずり笑いまだ生きている 4 振り向けばすべて思い出　美…

1 かさぶたをゆっくり剥がす優しくはなれなかったと春雨の降る 2 薔薇風呂にお入りなさい美しくなりたいのなら傷つきなさい 3 綻べばもてはやされて枯れたならLEDを巻き付けられて 4 春雷を遠くみてい…

1 曇りのち雨の街では誰しもが誰かに差し出す傘を持っている ２ 平等はどこにもないとわかってて半分こする指先がすき ３ ラングドシャをランドグシャっていうひとの気持ちがどうか潰れませんよう ４ 灰色が…