さいはてキッチン

あらすじ

かつてこの地に暮らした人々が「誕生」と呼んだもの。

青空など、自由など、欲しくないと悲鳴をあげる小鳥。

名前が識別子でしかないこの世界を、それでも僕は愛している。

僕はたった一人の全知無能な忘れ物として、無知全能な者たちの踊り狂う様を見て見ぬふりし続けて、そうしていつか来る「終わり」のときには、「きみ」に引導を渡してもらいたい。

おなかが空く。

どんな感傷に浸ったところで、命を奪って、僕らは生きながらえていく。

それを糾弾したり、笑われることすらなく、今日もこの地には、おかしな色彩の風が吹き抜けるだけだ。

主な登場人物

アオ
まだ「何も」知らない少年。にんじんが嫌い

ケムリ
アオと暮らす青年。終わった世界の「記憶保持者」

ノイ
アオが倉庫の片隅に放置された鳥かごの肉片から生んだ小鳥

ゼロイチ
量産され搾取され、見捨てられた元天使・現食材

ミズ(仮称)
死を忘れた存在。ケムリと対極の属性を持つ


プロローグ ひかり

1 シチュー

2 実

3 紅茶

4 柿

5 オムレツ

6 コロッケ

7 おむすび

8 名前

9 遺伝子

10 鎖

11 雨

12 無意味

13 卵

14 因子

15 終止符