あらすじ
かつてこの地に暮らした人々が「誕生」と呼んだもの。
青空など、自由など、欲しくないと悲鳴をあげる小鳥。
名前が識別子でしかないこの世界を、それでも僕は愛している。
僕はたった一人の全知無能な忘れ物として、無知全能な者たちの踊り狂う様を見て見ぬふりし続けて、そうしていつか来る「終わり」のときには、「きみ」に引導を渡してもらいたい。
おなかが空く。
どんな感傷に浸ったところで、命を奪って、僕らは生きながらえていく。
それを糾弾したり、笑われることすらなく、今日もこの地には、おかしな色彩の風が吹き抜けるだけだ。
主な登場人物
アオ
まだ「何も」知らない少年。にんじんが嫌い
ケムリ
アオと暮らす青年。終わった世界の「記憶保持者」
ノイ
アオが倉庫の片隅に放置された鳥かごの肉片から生んだ小鳥
ゼロイチ
量産され搾取され、見捨てられた元天使・現食材
ミズ(仮称)
死を忘れた存在。ケムリと対極の属性を持つ