ボールペン

窓の外では蝉の大合唱だ。クーラーのよく効いた部屋で、彼は木製の椅子に身を預けていた。読みかけの文庫本には、クローバーをあしらった栞が挟まれている。 梅雨明けをあれほど待ちわびたのに、いざ夏がやってくると、暑さも湿気も非常…

1 月蝕を隠した雲の優しさに気づいた人からほどかれてゆく 2 あの蝶があなたのような気がしては右から順に手にかけてゆく 3 動かない時計の針に触れているあなたのために水汲みにゆく 4 好きという呪いがとけてしまっても一緒…