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無音

失うべき音が一つも無い朝を迎えて小鳥が窓辺から飛び立ったその瞬転、誰かが垂れ流した幸せの残渣が見事に私の胸に沈殿しました。

それから、在り合わせの言葉と、間に合わせの言葉と、出来合いの言葉とが、非常に都合のよい状態で昼時に届きました。

箱に結ばれたリボンの赤色を見て、私は自室で吐き気を催したものです。

さて、耳触りのよい囁きを吐き出す花と、口当たりのいい言葉を求める魚と、被害報告に明け暮れる行列は、どれが最も有毒なのでしょうね。

午後3時には気まぐれな木枯らしと一緒に優しい紅茶を飲みましょう。それでもきっと苦しくて、結局泣いてしまうでしょうけれど。

愚か者が二の句を告げないのは、その愚かさ故ではなく、自称賢者たちに辟易しているからなのです。

今日も闇に向って傾いていく太陽とあなたとが共謀して、私に甘い時間を強制します。そのまま溺れればいいのだと優しいフリをして搾取するのです。

怖いというよりは、野暮だと思うのだけれど。

果たして小鳥は帰ってきませんでした。殺風景な窓辺に与えられる ♪ は何処にも無く、口笛を吹いて誤魔化しても隠しきれない悔しさと虚しさが、点けっぱなしのラジオから聞こえました。もちろんSOSとして、です。

ノイズ混じりのI love youなんて

全然届かないよ……。