短歌 走る
1 ラブアンドピースを祈る指先の尖ったネイル(もう戻れない) 2 林立のハザードランプふたりには居場所のなさが心地よいこと 3 環七を滑り降りてくライトたち目を細めると笑ったみたい 4 助けてと言える…
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1 ラブアンドピースを祈る指先の尖ったネイル(もう戻れない) 2 林立のハザードランプふたりには居場所のなさが心地よいこと 3 環七を滑り降りてくライトたち目を細めると笑ったみたい 4 助けてと言える…
1 お便りは tasukete@アットgod.ne.jp まで 待ってるよ 2 傷跡のない人生はつまらない下味のないチキンみたいに 3 一晩で片づけられたクリスマスツリー 私は笑ってました 4 靴下に…
1 目が覚めてトーストを焼く日曜日きみの鼻唄もメジャー進行 2 ラジオからふたりの好きなナンバーがフルコーラスでかかる日曜 3 宝物? ゆびわ、ともだち、きみ。プリン食べているから、うん、順不同 4 …
1 胸深く埋うずめたはずの黒歴史優しい他人ひとが掘り当ててきた 2 教科書の隅のパラパラ漫画では上手にいったはずの告白 3 カニカマを蟹と信じて生きていた11歳は幸せだった 4 爪を噛む癖が治ったあの…
1 着火剤よりも苛烈なきっかけがきみであるもう後悔はない 2 孤独より孤立が怖い「助けて」が届かないなら声を燃したい 3 窓ガラスにイニシャルを指でなぞってぜんぶ夕焼けのせいにしたね 4 灯火ともしび…
1 綻びはつまり終わりと笑うきみ拒絶できない桜の便り 2 開花待つ指を祈りの形にし春の日差しを零さないよう 3 「役に立つ」なんて定規は焼き捨てて回転しない木馬を磨く 4 医院から出てきた人と目が合っ…
1 音階の隙間に遊ぶ雨粒がビニール傘を楽器に変える 2 ありがとうなんてやめてよあたりまえでしょういっしょにねむるのなんて 3 ワッフルの窪みに蜜を垂らすまだ許せないことだけ数えつつ 4 プリーツに八…
1 ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる 2 髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから 3 「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く 4 フィ…
1 降り注ぐ陽光のなかほどかれる過去は過去だと捨て置けますか 2 舞い落ちるその一葉を目で追ってそのままふたり踊り続ける 3 終わりとは意味のあること秋楡に託す言葉を一緒にさがす 4 月までも凍える夜…
1 ペディキュアは夏へのとびらアスファルトを滑走路にして走り出す 2 きみでいい なんて真っ赤な嘘だったほんとはきみじゃなきゃだめなのに 3 横にしか首を振らない扇風機 冷えたゼリーにスプーンを挿す …