第三章 さようならだけはいわないで

拘束された自由を謳歌するもう一人の都市伝説、篠畑礼次郎は、まるで新しい玩具を買ってもらった子どものような気分で、証明写真の葉山をちらっと見て笑う。

狂気と一言で片づけるには美しすぎる、彼の両目に灯ったいびつな天啓が舞台の続行を告げている。

「面白くなってきましたね……」

篠畑の独り言もまた、無機質な空間に流れる冷たい空気に吸い込まれていった。

第四章 その手から零れ落ちる羽