受話器越しにパン! という銃声を聞いた篠畑は、顔色一つ変えずにさらっと、
「聞こえました? 今の」
ミズに話しかけた。ミズは「遅かった」と舌打ちして、
「結局は、あんたの思う壺になったってわけね」
悔しそうに吐き捨てた。
「あの子を解剖することになるなんて、夢にも思ってもみなかったわ」
篠畑は、首を少しかしげ、とぼけた口調で、
「解剖? そんな必要ないでしょう」
「死因がいくら明らかでも、不審死には違いないわ」
「ふふっ」
「本当にとんでもない奴ね、あなた」
脱力して腕組みするミズに、篠畑はさらりとこんな事を言った。
「生きている人間は解剖できないんじゃないですか」
「なんですって?」