要介護状態の祖母を見舞いに行ったら、祖母はとっくに狼に食べられていて、着けていたオムツだけが無惨に散らばっていた。ちくしょう、有給休暇を取ってまで見舞いに来たってのに、なんだこの事態は。
狼は渋々とあたしを家に入れると、紅茶を出しながらこう言った。
「悪気はなかった。老婆の方が味が凝縮されてていいんだ。干し柿とか干しシイタケを、君も食べるだろう」
「アジの干物も食べるわよ。何、おばあちゃんは美味しかった?」
「ええ、それはもう」
「良かったわね。で、あたしも食べちゃう訳?」
「時期尚早。否、青臭いのも悪くないか……」
「ふざけんな」
あたしは祖母にプレゼントする予定だったリボルバーを取り出し、躊躇うことなく狼の眉間にぶっ放した。狼は即死した。
「人の有給をなんだと思ってやがる」
この事件は、グリム兄弟によって改ざんされたそうです。