短歌 沈黙


赤い羽根飾ったひとの何割が鳥の痛みを思うのだろう

2
いっせーの、でジャンプをしよう二分後に特急新宿行きが来るから

3
テーブルに並ぶナイフとフォーク見て「切って刺す」って呟いたきみ

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花束と拳銃ならば花束を選んで撃たれる人生がいい

5
荒らげた声の寂しい(獣より寂しい)今は沈黙が華

6
前髪を切ったってのに誰からも気がつかれないで風まで凪いだ

7
足もとに転がる木の実またひとつ寂しくならない理由がない

8
後悔が美化されるからアルバムは笑顔の写真だらけなんだな

9
影ふみにルール説明がいるのか決められないと遊べないのか

10
月光に冴えたナイフの行くすえを身を寄せ合って見守るふたり