残響

抱きとめきれなかった
感情未満のずくずくたちが
何一つ許されることなく
宙空に反響している
見さだめられなかった
後悔未満の星のたまごらが
どれ一つ相手にされずに
私のなかに還ってくる
温めるだけでよかった
インスタントな心が
すっかり凍てついて
顆粒状になってしまったので
水をかけて戻してやると
どれもこれも溶けもせずに
プロセスを無視して
笑顔になりやがった
レンジにかければよかった
レトルトな宝石たちが
星々に成り代わって
今宵私の両眼に乱反射する
まぶたを閉じるまで
美しいふりをするのだ
闇の優しさよ
キッチンにさしこむ
一条の生臭さよ
この意識は誰の私物だ
回収されなかった伏線を
束ねて私は生き延びる
ふりだしに何度も戻されようと
三人称を強制されようと
仮令らしさを切断されようと
四角い世界は丸い地球の上に
地球はびたびたの闇の中に
私は静謐な愚かさに
浸されている
こんばんは、今日も暑いねぇ——
欲を張れば不幸が始まるよ
正義は独善と快感の隣だよ
私は後ずさりすらできずに
笑顔になってしまう
(この痛みすら
イミテーションだ)
寄せてはかえす
あらゆる欲の波を越えて
もうなにもいらないと思えたら
そのときやっと本当の
笑顔になれるはずなのに
私は闇を待って
口を半開きにして
待って待って待って
顆粒状になった己の心に
結局水をぶちまけてしまった

目の前に
私が転がっている