1
カーテンが窓辺に遊ぶ日曜にカウントダウンしてゆくいのち
2
願いごとまみれの笹を携えた子らに注いでいる酸性雨
3
新宿で辞書に載らない寂しさを遺棄するために息する僕ら
4
頑かたくなに閉じたこころがほどけだす夏だひかりのせいにしようよ
5
晴れの午後アクセルが知る本性をきみは隠しているつもりなの
6
雨が降るごとに鋭くなるきみの視線をかわすためだけの傘
7
特売のソーダ水が抱く痛みを受けとめたくてよく振ってみる
8
終幕にわいた拍手にハッとするわたしも人を傷つけてきた
9
雨上がり従順にだけはならずに中指とゆく街の静けさ
10
恋人と呼べないきみを恋人と呼びたい夜に爆はぜる雨粒