今日の短歌 綺羅星

1
ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる

2
髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから

3
「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く

4
フィクションとノンフィクションの境界をぼわっとさせる金色の暮れ

5
焼きたての食パンよりもしあわせな香りがあれば教えてほしい

6
おかえりを常套句にし暮らしたいたまに忘れて慌ててみたい

7
あいまいにしてきたことのいくつかが糾される夜は降れよ星々

8
診断書を這った指先わたしにはなにもないけどいま笑えてる

9
破られてやっと約束だと気づく(ておくれ)(それは言わない約束)

10
ペダルには今宵綺羅星が灯って漕ぎ出す者を旅人にする