今日の短歌 判例

1
容赦ない季節ときの巡りに黙りこむコンロの炎とつとつ揺れる

2
おくれ毛にからみつく指ほんのりとみかんのにおい(きみだけだから)

3
カーラジオから流行歌「知らないね」と笑いあう午後たしかにふたり

4
満月にアクセル深く踏み込まれピアスホールがかすかに疼く

5
きみだけに気づかれるようまばたきでモールス信号を送ってた

6
街路樹に電飾絡む「きれいだね」そうかなとても苦しそうだよ

7
恋人に戻れなくても流星に打たれ消えたらいいね(笑って)

8
踏みつける落ち葉はみんな三拍子悲しいときは円舞曲に限る

9
わがままは言うためにある「『肉まんはおやつである』と判例にあり」

10
待ってたの ううん氷が溶けきって涙に化けるのを眺めてた