短歌 雪

1
絡まった毛糸をほどく窓辺にて「粉雪だ」ってきみはつぶやく

2
春を待つ(固いこぶしがほころびるよう)祈りにも雪降り注ぐ

3
雪だるまたぶん私のご先祖もそのご先祖もそのご先祖も

4
「極寒の雪国生まれ」寒さにはめっぽう強いはずの設定

5
こころにも雪降るだろうしんしんと未練ばかりが暴れる夜は

6
終わり方忘れた恋がかつてありみだりに雪は音もなく降り

7
雪道に足跡つけるためシューズをおろす今日はもちろんいい日

8
この雪は果たして海を知るだろう夏になるまで一緒にいよう

9
国境も言語も信じてるものも越えてただただ雪降り積もる

10
「雪だね」と嬉しそなまた悲しそなきみの一部になれたらいいな