短歌 着狂

1
花束を抱きしめる人は誰もが花に抱きしめられていること

2
餅つきは無理をしちゃだめ餅つきでなくても無理はしないでほしい

3
困りますくしゃみひとつで深刻な顔して髪を撫ぜられましても

4
先生が一般人に戻っても私にずっと課される薬

5
「あのポーズしないと店に入れない」すしざんまいをきみは恐れる

6
宇宙人でも構わない人ならば話せばわかる話せるならね

7
オニポテは鬼的ポテトと思ってた ていうか今もそう思ってる

8
帰れ帰れ帰れ帰れって言われても帰れるのならもう帰ってる

9
秒針を日暮れのあとも凝視するきみに言葉はかけたりしない

10
発狂があるなら着狂があるはずふたりの日々はその道半ば