短歌 四月馬鹿
1 四月馬鹿八月もまた騙されて拍手の渦に身を潜ませる 2 どうしたらいいかわからずどうにでもなれと引き金に手をかけた 3 リュックから長ネギがはみ出している彼の日常に差す黒い影 4 特急が見逃してきた過ちをSNSに上げる…
1 四月馬鹿八月もまた騙されて拍手の渦に身を潜ませる 2 どうしたらいいかわからずどうにでもなれと引き金に手をかけた 3 リュックから長ネギがはみ出している彼の日常に差す黒い影 4 特急が見逃してきた過ちをSNSに上げる…
1 日に焼けたポスターの赤誰のせいにもできないニュース速報 2 諍いの声が聞こえる誰のせいだろう夜明けがこんなに遠い 3 論破って名前を犬につけましたどこへ行っても素直な論破 4 ヒンメリの影を指先で追いかけあっひとりか…
風鈴を鳴らすそよかぜ捕まえて 髪の毛を束ねて恋よソーダ水 七日目の蝉が喚いて日が暮れて 雷鳴よひととせ待つか想い人 虹を見た午後にとなりで笑うひと
1 蝉時雨まだ許されていない午後伝う汗まで私を責める 2 わからないことがわかると宝物ひとつ失くした気持ちが実る 3 月まででいいから早く連れてって片道切符で構わないから 4 老いという現実はにび色をしてどこへ行っても視…
1 何回も同じCMの流れるリビングの隅に浮く金魚たち 2 夏祭りあやまちさえも彩りを増すか夜空の打ち上げ花火 3 真っ白なシューズをおろした夜なのに月が視界に飛び込んでくる 4 叫んだら許されますか良いことと悪いこととが…
窓の外では蝉の大合唱だ。クーラーのよく効いた部屋で、彼は木製の椅子に身を預けていた。読みかけの文庫本には、クローバーをあしらった栞が挟まれている。 梅雨明けをあれほど待ちわびたのに、いざ夏がやってくると、暑さも湿気も非常…
僕はしげしげと目の前の少女を見た。少女は不機嫌そうに僕の視線を受け流している。 「邪魔じゃない?」 単刀直入に僕は言った。 「その羽。空気抵抗が」 少女はダンマリだ。 「不利だと思うんだ」 ショートカットヘアの少女は、ま…
地球儀を強く抱きしめて 失くした星だけを数えて から笑うあなたのことを 私はもう許せそうにない あなたを許せない私を あなたは許してしまう そうして無難至高にて 風を感じているフリと 生きている真似事とが 上手になってい…
1 冷暗所で爪を噛んだおかげで孤独を辞書で引かなくて済む 2 おかしいな規則正しく生きてきた規則正しく生きてきたのに 3 生まれたらカウントダウンがはじまるから泣きながら生まれてきたの 4 だれだれがどこどこでなにをして…
金魚玉梳かれる髪のきらめきよ 公園に休符遊ぶか夏祭り 夏の星いのち巡ってまばたきよ 不可逆か月を睨んでアゲハ蝶 笹舟に託す吾子の灯ほたるとぶ 夕立がなぐさめとなる帰り道 三拍子最後の電話精霊馬 怪談か風なく揺れるぶらんこ…