短歌 他人事
1 ステータス「どく」のまんまで日の入りを待っている道もう歩けない 2 春雷に傘はいらないもう少しだけ罪人でいさせてほしい 3 傘さして雨粒にさえ拒まれて骨になるまでひとりでいたい 4 焼きたてのパンをちぎってくれたから…
1 ステータス「どく」のまんまで日の入りを待っている道もう歩けない 2 春雷に傘はいらないもう少しだけ罪人でいさせてほしい 3 傘さして雨粒にさえ拒まれて骨になるまでひとりでいたい 4 焼きたてのパンをちぎってくれたから…
落ち葉がつむじ風に踊っているのを見ると、たんぽぽのことを思い出す。たんぽぽといっても植物のそれではなく、たんぽぽという名の女の子のことだ。もちろんそれはあだ名で、本名は知らない。出会ってすぐ、好きな花はと訊かれ、僕が特に…
たぶん、と前置きしてきみはいう。 桜が満開になったら、綻びは繰り返すと思うんだよ、なんて。 近所のかりんの花が咲き始めて、若葉の隙間から鮮やかなピンクを覗かせているけれど、私はあの色があまり得意じゃないの。 それはよかっ…
値札さえ与えられず 都合の悪さを携えて 焼きたてのパンのことを考えている 春、魔物を産んでしまったから 古アパートでほどけた安い自我が フリースタイルで追われ果てた ずっと笑っていたのが私で そばで泣いていたのが私で 逆…
1 捨てられるだけの尾ひれがひらひらと彼岸で我を手招いている 2 この街にかもめはいない錆びた目をひっさげ歩く魚ならいる 3 包丁のせなで弾かれゆく鱗きらきらとしてああ生きていた 4 包丁でずんと切断した頭部にごめんと添…
1 若さとはあっという間に過ぎるからせめて各駅停車で帰る 2 切り分けたケーキの小さいほう選ぶそういう人から幸せになれ 3 春、薄いブラウスをすぐ脱ぐときの罪悪感は酸味が強い 4 ポケットにあったプリクラ加工機能なんてな…
1 右上に赤い数字が灯るたび白い小鳥がぴこりんと笑む 2 切りすぎた前髪を誰も気にしない本日はよく晴れていますね 3 しゃぶしゃぶと2回言わなきゃいけないと道徳の時間に知りました 4 がんばれやごめんなさいが命令形なんて…
1 宝箱閉じるみたいに命日がいつになるかは触れないでおく 2 By the way , why were you the rain? ってなんで英語で遺言するの 3 編み物が好きでしたよねよくここで変な模様を編んでいまし…
1 モーションはスローでエモーションはリピートで若さは早送り 2 勾配のきつい坂道下るひと「ああ人生ってこういう感じ」 3 残高の0が減るたび天国が近づいてくる(そういう仕組み) 4 きみの傷、憂鬱、死にたくなる気持ち …
1 フライパンのうえで色づく目玉焼きはいつも私をじっと見ている 2 合い挽きを合成獣と認識しハンバーガーを口にする夜 3 問)黒い帯が目元に描かれた履歴書を受け取る人の気持ちは? 4 渦巻きを眺めていると右側に首が傾いて…