短歌 言い訳
1 目的地まであと三歩届かずに三歩ごまかし過ごす生きかた 2 マジシャンの本気の恋は種明かしできないゆえにひどく不評だ 3 夜が天から階段を降りてきて夕焼け抱いたのが動機です 4 行先のわからないバスを降りられずふたりぼ…
1 目的地まであと三歩届かずに三歩ごまかし過ごす生きかた 2 マジシャンの本気の恋は種明かしできないゆえにひどく不評だ 3 夜が天から階段を降りてきて夕焼け抱いたのが動機です 4 行先のわからないバスを降りられずふたりぼ…
「志望動機は?」 同期の中竹佳樹がタバコ片手にだるそうに聞いてくる。山積みになった捜査資料にゲンナリしていた僕はため息をついた。 「就活生かよ」 「社会の平和を守るため、は嘘だろ」 「なんでだよ」 「志望動機は?」 竹中…
1 許可もなく生きてたカエル 許可を取り理科の時間に解剖をする 2 優・良・可じゃなく不可の奥にあるほんとのことを書いてください 3 物故者の欄に確かに載っている私の名前が10ptで 4 涙まで織り込み済みの「おめでとう…
花吹雪すべて忘れてしまおうか 叶わない恋ならいっそ蝶となれ 草の芽とともに天指す無垢な指 花として歩いてゆけと祖母のふみ いさかいも花の下ではほどかれる たんぽぽをたんぷぷという子がひかり ぜんまいの苦さが旨さになる破瓜…
林立の夢を刈り取った手で 優しく微笑むのはやめてよ 背の順が嫌いだったことや 前へ倣えを疑ったことまで よくできましたと言われて あなたは何を私に望んだの 最終バスが去った後で 喪服の女が口笛を吹く 馬鹿だなと笑うあなた…
彼が先月の私の誕生日に送ってくれたガーベラの花が、今朝になって突然一斉に散った。 さしづめ、花の報せとでもいおうか。 一報を受けてから私の日常は、あっけなくバタバタと崩れた。それまでの日々がいかに呑気なものであったか、そ…
少し黄ばんだ表面に 容赦なく叩きつける 春の雨は優しくあり 群れ骨群れ骨群れ骨群れ骨 矮小な讃の残渣と赤血球が 反乱を起こした辛辣な春が 今年もやってきたのですね 群れ骨を掬う者も救う者も 其れに巣食うものもおらず 痛み…
1 書くことを探して結局「これからもよろしくね」って嘘を残した 2 黒板の右下に名が載るたびに笑われたからもう笑おうか 3 教室の窓ガラス一枚ですら割れずに過ぎる正しい青春 4 嘘をつき立ち回りよく空気読む 全部教室で学…
花吹雪すべて忘れてしまおうか 叶わない恋ならいっそ蝶となれ 草の芽とともに天指す無垢な指 花として歩いてゆけと祖母のふみ いさかいも花の下ではほどかれる たんぽぽをたんぷぷという子がひかり ぜんまいの苦さが旨さになる破瓜…
1 不機嫌なきみの向かいで風水のせいにしてみるケンカの理由 2 お湯足せばまだ味が出るのに席を立つような人とは生きてゆけない 3 よく食べてよく寝て笑いお薬を飲んでいるけど苦しい 許せ 4 血を吐いたこともないけどつらい…