おともだち
カーテンでのみ仕切られた暗い部屋で、ある晩、ついに僕にお友達ができた。 彼はもじゃもじゃの金髪に赤い鼻、派手な水玉模様のサロペットに虹色のチョッキを着て黒い靴を履いていた。終始、楽しそうに笑顔を浮かべていた。 名前を知ら…
カーテンでのみ仕切られた暗い部屋で、ある晩、ついに僕にお友達ができた。 彼はもじゃもじゃの金髪に赤い鼻、派手な水玉模様のサロペットに虹色のチョッキを着て黒い靴を履いていた。終始、楽しそうに笑顔を浮かべていた。 名前を知ら…
紅葉が燃えるような美しさに包まれる景色を窓から見た。しかし彼はその赤を「葉っぱの色素が死んだ物質の沈殿の結果」としか認識せずに、薄笑いをしながら鼻歌を歌う。それは確か、グリーンスリーブスという古い曲だ。 私はその音色にギ…
うっかりスマホを落としてしまった女子大生。 知らない言葉一つ調べるのにも辞書が、電車の乗換えを調べるにも路線図がいる。 友達と連絡を取るためには手紙を書かなければならない。 徐々にそんな生活も悪くないなと思い始める。
「今って忙しいですか?」―Misakiより 「にゃん!」―from gyi8u 「あなたのアカウントは異常ログインをされたました」―xxxyo8T 「コン!」―まゆゆゆ☆ 「Be sure to read this me…
甘いものが苦手だと思ってた。お酒が好きな人は甘いものよりお酒に合うものが好きなんだろうなって。 新入メンバーの歓迎会として開催されたホームパーティーで、あなたは他のみんながUNOに興じるなか、離れた場所に置かれたソファの…
より暗いほうを見ていたかった。闇の濃くて冷たい空間に視線だけでも逃してやりたかった。 LEDで照らされた京王線の車内、帰宅のラッシュアワーを少し過ぎた頃に、どうにか座席を確保し仕事で疲れた体を沈めると、7人がけのロングシ…
きみが神さまを自称しはじめてから、いつも私は寂しい。自称だなんて胡散くさいし、そもそもどこから見てもきみは、至って平凡なサラリーマンだ。 なのに、きみは確固たる意志をもって自分が神さまだと信じている。笑えない冗談か、はた…
オーディン(Odin)はスウェーデンのサブミリ波観測衛星。2001年2月20日、ロシア極東のスヴォボードヌイ宇宙基地からスタールト1ロケットにより打ち上げられた。名称は北欧神話の神のオーディンに由来する。 天体物理学と大…
文明を発展させ続けた人々は、それでも決して届かない天を目指した。あらゆる英知を結集させ、神々の領域を侵さんと目論んだ。己らこそが神であると言わんばかりに、兵器や武器を製造しては力を誇示した。あるいは遺伝子操作を暴走させ、…
八岐大蛇ヤマタノオロチは、ほとほと困り果てていた。あれほど恋焦がれてようやく手中に収め、新月の夜に食らおうとしていたはずの櫛名田比売クシナダヒメが、なんと蛞蝓なめくじに、ある朝姿を変えていたのだ。 それが先に喰らった櫛名…