今日の短歌 津田沼

1 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 2 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 3 発つことになったと告げてきみ見れば真剣に納豆を混ぜてて 4 お隣に行くだけでしょう電話なら毎日す…

今日の短歌 (猫がいる)

1 解のない問題文を与えられ((大丈夫))って繰り返してる 2 ようこそ に愛を感じる画面には淋しがり屋の顔が映ってる 3 八月が終わる夜にはそばにいて「もういいよ」って私を呼んで 4 これは秋それはまだ夏きみだけにぼく…

今日の短歌 未明

1 打ちつける粒のひとつを指で追い泣き出すきみの背中を見てた 2 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 3 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひとつが尊いなんて 4 大雨の夜はなにかが目を覚ますそれより…

今日の短歌 傷つけたい

1 大丈夫われわれはみなポンコツだこの痛みさえいつか笑える 2 復讐の計画を立てるよりラジオネームを一緒に考えようよ 3 半分こしたどら焼きの少しだけ小さいほうを選ぶのがきみ 4 面取りはまごうことなき愛情だ大事なことは…

今日の短歌 レッドアイ

1 「愛してた」なんて過去形はいらないメタルまみれのプレイリストに 2 回転をやめないミラーボールああライブハウスに骨を埋めたい 3 鮮やかにぶたれるドラム昔から優しいだけじゃなかったんだね 4 東京は人がたくさんいるけ…

今日の短歌 トマトマト

1 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 2 ウェブニュースコメント欄を消去してきみは優しい歌だけを聴く 3 情報化社会で弱者と呼ばれてもきみがしあわせならそれでいい 4 笑顔には二種類あって向けられて嬉しい…

今日の短歌 ゼリー

1 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた 2 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 3 ガラス戸にさしこむ夕陽つかまえて囚われているのはきみのほう 4 なにごともなかったように続いてる線路…

今日の短歌 なぞなぞ

1 窓辺には金木犀の香りまたきみがほどけるきっかけを生む 2 怖くてもほどけてもいいきみがすきそれより強い理由などない 3 予報にはなかった雨に濡れそぼり帰る家にはきみという謎 4 今どきはわかりやすさがウケるけどきみと…

今日の短歌 いつものラジオ

1 風呂上がり米を研ぎつつ聴くラジオいつもの声に励まされてる 2 叫ぶよりもう倒れたい夜だけど深夜ラジオが笑かしてくる 3 通勤のお供はラジオ満員の京王線で笑みかみ殺す 4 カーディガン脱ぐとききみが目をそらす Don&…

今日の短歌 猫は驚く

1 コンビニの冷食売り場に永遠がわりと安値で微笑んでいる 2 永遠が「ん」で終わることしりとりで使えないこと腹が減ること 3 永遠の終わりを告げるレンチンに涙するひとだけで食べてよ 4 ぎこちなく扉は閉まる人びとがもった…