短歌 加工

1 スカートを揺らす花風 死んだってAIがいるからもう大丈夫 2 「新宿で人身事故が起きました」他人事としてアプリを閉じる 3 パスポート渡航予定に天国と書けば窓口のひとが微笑む 4 Facebook 亡き人の誕生日 あ…

1 捨てられるだけの尾ひれがひらひらと彼岸で我を手招いている 2 この街にかもめはいない錆びた目をひっさげ歩く魚ならいる 3 包丁のせなで弾かれゆく鱗きらきらとしてああ生きていた 4 包丁でずんと切断した頭部にごめんと添…

開花宣言宣言

値札さえ与えられず 都合の悪さを携えて 焼きたてのパンのことを考えている 春、魔物を産んでしまったから 古アパートでほどけた安い自我が フリースタイルで追われ果てた ずっと笑っていたのが私で そばで泣いていたのが私で 逆…

短歌 如月

1 モーションはスローでエモーションはリピートで若さは早送り 2 勾配のきつい坂道下るひと「ああ人生ってこういう感じ」 3 残高の0が減るたび天国が近づいてくる(そういう仕組み) 4 きみの傷、憂鬱、死にたくなる気持ち …

短歌 「は」

1 白シャツでカレーうどんを食べるひとだから私は惹かれたのです 2 真夜中にきみの寝言で目覚めても首を絞めたりはしないからね 3 おやすみは優しい響き また明日目を覚ましてもいいなと思う 4 あなたにはわかるはずない痛み…