今日の短歌 はらり
1 春だから泣いてもいいと告ぐひとは泣く原因になっているひと 2 脚光を浴びることなく散っていく白木蓮の手向てむかう季節 3 雨粒がみんな音符に化けるなら泣いても歌に聞こえるはずだ 4 ベランダに花びらはらりきみからの便…
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1 春だから泣いてもいいと告ぐひとは泣く原因になっているひと 2 脚光を浴びることなく散っていく白木蓮の手向てむかう季節 3 雨粒がみんな音符に化けるなら泣いても歌に聞こえるはずだ 4 ベランダに花びらはらりきみからの便…
1 助手席の寝言に合わせアクセルを強く踏み込むきみの企み 2 それでいい 風を目で追う夕まぐれなんとなくでも生きているなら 3 街はもう桜を忘れあまつさえ市外局番まで気にしない 4 めでたしの続きをずっと紡いでく なんて…
1 (「半額」のシールを貼ってくれるひと)待ち人はあと三分で来る 2 落涙に汚れた頬を抱きしめるそれは地図になるため流れた 3 正しさはただの抑圧このぼくはコーラをちゃんと振ってから飲む 4 靴紐を結び直してまた歩き出せ…
1 ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる 2 髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから 3 「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く 4 フィクションとノンフィク…
1 降り注ぐ陽光のなかほどかれる過去は過去だと捨て置けますか 2 舞い落ちるその一葉を目で追ってそのままふたり踊り続ける 3 終わりとは意味のあること秋楡に託す言葉を一緒にさがす 4 月までも凍える夜に寄り添ってホットミ…
1 降り注ぐ火の粉を数えているきみ正常なんて野暮な季節だ 2 ゆりかごを胸に置きざり泣きかたもわからずきみは大人になった 3 打ち上がるたびにこっそり見つめてたまつ毛の長いきみの横顔 4 お土産は大事な人を数え買う片手で…
1 宿題をサボって海を見に行った夜のすべてを肯定したい 2 立ち止まる時があるからこそ前に進める意味を噛みしめる夜 3 砂の熱浴びて全力疾走で「後悔」なんて辞書にない夏 4 終わるまで手を繋いでてほしかったずっとそばには…
1 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 2 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 3 発つことになったと告げてきみ見れば真剣に納豆を混ぜてて 4 お隣に行くだけでしょう電話なら毎日す…
1 解のない問題文を与えられ((大丈夫))って繰り返してる 2 ようこそ に愛を感じる画面には淋しがり屋の顔が映ってる 3 八月が終わる夜にはそばにいて「もういいよ」って私を呼んで 4 これは秋それはまだ夏きみだけにぼく…
1 打ちつける粒のひとつを指で追い泣き出すきみの背中を見てた 2 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 3 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひとつが尊いなんて 4 大雨の夜はなにかが目を覚ますそれより…