短歌 霜

1
十年に一度の寒波メイクして街を歩けば頬に立つ霜

2
霜柱踏んづけ歩く朝のみち遅刻のわけを誰も責めない

3
晴れた日にこそ降りる霜出会いとは別れの合図(認めたくない)

4
しもやけになるまで待っていてくれた改札口のきみに肉まん

5
さよならは冬が一番よく似合う霜の嚆矢がオリオンを刺す

6
背伸びして買ったヒールで霜柱踏んづけ歩く今日の功績

7
しもやけをぬくめるためのあったか〜い缶コーヒーのコーナーがない

8
花びらに降り立つ霜は化粧だと白いビオラに頬寄せたきみ

9
霜柱すでに滅びた公園のブランコ揺れる風もないのに

10
十年に一度の寒波といわれて霜つく窓をそっとなぞった