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紫陽花の抱く雫が涙ならきみが泣いてるわけは問わない
2
月光にランプシェードが揺れる夜わかりあえないからそばにいる
3
まだ帰りたくない駅に続いてる信号機みな赤で壊れろ
4
留守電にいまだに残るきみのこえ消去ボタンが旅に出て梅雨
5
引き返すつもりがあれば愛なんて言葉を使うわけないだろう
6
泣き出したゼブラゾーンを行くきみは無口なままで傘をささない
7
天井を見上げるふたり日曜は約束なしで手をつなぎたい
8
雨音のリズムに乗って窓ぎわをブロードウェイにしてみせるきみ
9
三日月をねだる今宵の瞳には見たことのないきみが棲んでる
10
きみ史上最低なひとになりたいそれでいいから忘れさせない