今日の短歌 史上最低

1
紫陽花の抱く雫が涙ならきみが泣いてるわけは問わない

2
月光にランプシェードが揺れる夜わかりあえないからそばにいる

3
まだ帰りたくない駅に続いてる信号機みな赤で壊れろ

4
留守電にいまだに残るきみのこえ消去ボタンが旅に出て梅雨

5
引き返すつもりがあれば愛なんて言葉を使うわけないだろう

6
泣き出したゼブラゾーンを行くきみは無口なままで傘をささない

7
天井を見上げるふたり日曜は約束なしで手をつなぎたい

8
雨音のリズムに乗って窓ぎわをブロードウェイにしてみせるきみ

9
三日月をねだる今宵の瞳には見たことのないきみが棲んでる

10
きみ史上最低なひとになりたいそれでいいから忘れさせない