最終群 一 緒

こうして、地球は今日も、尊い命を運びながら、廻っている。『組織』が、どこでどう暗躍しようが、地球の知ったことではない。いわずもがな、彼らの預かり知るところでもない。

誰にも等しく、季節は巡る。それが青年の叫びだったり、少女のため息だったりすることを知る者は少ない。

きっと、それでいいのだ。彼らは、いつだって、いつまでも、地球に還って共に『居る』のだから。

自分は無力だ。それを知ることができたから、今日も僕は、不器用に笑ってみせるんだ。

そう、歩き続けるのだ。時として、強い雨風に立ち向かいながら。

「先生。私の居場所は、何処ですか?」

診察で、真剣にそう問いかける患者は非常に多い。もしかしたら、誰もが、居場所を求めて苦しんでいるのかもしれない。

けれど、『彼ら』が教えてくれた。居場所とは、魂の安息の地。即ち、『今、ここに居る場所』だと。

面影橋に舞い落ちた桜の花びらを二、三枚、手で拾った真水は、それをそっと神田川に向かって散らし、晴れやかな春の空に向かって、

「………ありがとう」

それに応える様に、優しい春風がふうっと吹いた。