まんまる

私は浮かんだことがある 心を逃した先に居た 完全な球体と一緒に 美化されがちな夏アルバムの 読み飛ばされる一ページに 名前を与えられることもなく 極彩色のクレヨンで塗り潰された ちゃちな汚れ 神さまの…

垂れ糸

~注意事項という名のプロローグ~ ※これは、虚構を重ねる言の葉によって紡ぎだされる小説の『一考察』に過ぎません。 ~第一章~ 文字という文字に踊らされ続けた とある作家が 辿り着いた一つの真実、 ある…

桜が咲いたんでしょう

各駅停車新宿行きが 善悪を轢いてくれたなら—— 蝶よ、蛹のまま溶け出でよ 艶めかしく地球へと 四肢を投げ出した女の あるいは黒猫の 若しかして寂しかったのか 特急新宿行きは 善悪正邪を無視して進む——…

る、る、る

彼の唯一の関心は素数である。 る、る、る、と私が歌ったところで全く意味はない(それでも絞りだした悲鳴が歌なのだけれど) 私はあの日あの日あの日幕張付近で京成線の踏切を渋滞する車の後部座席から眺めており…

名前を呼ばれても

挨拶のない夜明けに 一途な愛の現在位置を確認した 己の愚かさがよく溶けた アイスソイラテが美味しい午後 しあわせ、と口にすれば ひたいの玉の汗が笑いだす 暑いですねぇ ひところはコートも着ていたのに …

水草

加速度を上げたレッテルが 水槽の中ではち切れるとき 金魚どもの骨々は報われる 空——まだ数えるには足りない幻滅と 明滅するスマートフォンの広告たちが ゆらゆら行く手を阻むためだけに在り 私の残滓の根本…

惰楽器

私はあなたに もう正論しかぶつけられないのだ 二度と過あやまつことさえもできないと 歌を歌っても 愛してるよりさよならの数の方が 多いことに気づいてはならなかった (後悔するために ……継続される呼吸…

残響

抱きとめきれなかった 感情未満のずくずくたちが 何一つ許されることなく 宙空に反響している 見さだめられなかった 後悔未満の星のたまごらが どれ一つ相手にされずに 私のなかに還ってくる 温めるだけでよ…

名前を呼ばれても

挨拶のない夜明けに 一途な愛の現在位置を確認した 己の愚かさがよく溶けた アイスソイラテが美味しい午後 しあわせ、と口にすれば ひたいの玉の汗が笑いだす 暑いですねぇ ひところはコートも着ていたのに …

水草

加速度を上げたレッテルが 水槽の中ではち切れるとき 金魚どもの骨々は報われる 空——まだ数えるには足りない幻滅と 明滅するスマートフォンの広告たちが ゆらゆら行く手を阻むためだけに在り 私の残滓の根本…