耳たぶに穿たれている穴二つ誤魔化すように石がきらめく
路傍には鍵が落ちてて行き先をなくしたバスを猫が手招く
紅茶とはお湯がなければ枯葉だと憂うあなたのため息のクセ
飛ばされる駅の近くに住んでます あなたはいつも特急列車
これ以上悲しくならないためだけに新しい絵本を買う夜
繋ぐ手も冷え切っていくときだから言い訳をして生きたっていい
焼き秋刀魚 窪んだまなこに箸を刺す あたし現在内気なアサシン
二人して一人ぼっちで生きている 秋だそんなの悲劇ではない
ビー玉のような驟雨が降る街で呼吸以外に何を望んだ
爪先があなたを見ると月の裏ではパーティーが始まるらしい