今日の短歌 温泉の素

1
白鷺が羽を休める空の下ぽーんと琥珀糖を頬張る

2
らしさってなんなんだろうモミの木に願いを書いた短冊は揺れ

3
正解はつまらないから満点のテスト用紙は折り鶴にする

4
かじかんだ指で画面を滑らせて寂しいよって伝えたかった

5
生きるのも悪くないねと寒風に頬をさらしてきみは微笑む

6
オルゴール 過去は過去だと鳴り続け巻き直す手に冬が降りゆく

7
温泉に行くためなんだこんなにも歯を食いしばり仕事するのは

8
温泉の素を溶かした湯はあくまで温泉の素が溶けた湯

9
結局は我が家の風呂が一番と言うため人は旅に出るのか

10
寒さまで言い訳にして手をつなぐ今日もきちんとさみしいふたり