今日の短歌 ラムネ瓶

1
宿題をサボって海を見に行った夜のすべてを肯定したい

2
立ち止まる時があるからこそ前に進める意味を噛みしめる夜

3
砂の熱浴びて全力疾走で「後悔」なんて辞書にない夏

4
終わるまで手を繋いでてほしかったずっとそばにはいられないから

5
ラムネ瓶陽射しに透かし楽しいねって振り向くきみが悪いんだから

6
お祭りの金魚が聞いた笛太鼓とおくとおくに故郷はあって

7
いま楽にしてあげるよと包丁できみの見事な三枚おろし

8
欠けてゆくからこそ満ちる月のごと癒えれば傷は輝きとなる

9
傷の数優しくなれる人間のそんな仕組みが今は愛しい

10
痛みこそ私のしるべ天使にはなれないけれど笑えているよ