第六群 奇 跡

「ヒロ、やめなさい!」

浩之が呼吸を立て直し、叫び声を上げながら、三人に襲いかかろうとした、その時だ。

ふと、止んだ雨の代わりに、何かの欠片のような影が、周囲に舞い落ちた。

それは、見る間にその数を増やしていき、その一つ一つがひらりと動き始めた。というよりは、蠢き始めた。

真水はすぐ気付いた。

「――黒蝶……!」

面影橋を取り囲むように、どこからやってきたのか、何匹もの黒蝶が飛び交い始めた。

面影橋で、全ては――眠りを迎える。

征二の遺言は、その言葉で終わっている。何匹もの黒蝶は、まず麻衣子の一部だと見て間違いないだろう。

しかし、だとしたら、こんな大量の蝶がるということは……?

最終群 一緒 へつづく