短歌 ひと

1
まだ夢を見ているのって笑うひとびとは夢に見限られたひと

2
渋谷系のひとは「渋谷系」って書かれたシャツは着ないよたぶん

3
ああそうかほうちって法治じゃなくて放置のほうか(だからくるしい)

4
三月を待つひとの背に咲く梅を剪定鋏で根元から切る

5
溶けかけの雪が舗道を泣かせてる街が滲んで立ち尽くすひと

6
捨てられた雪でできてる雪うさぎ目玉までそのへんの小石で

7
蹴飛ばせば地球が泣くと主張して「ポエムw」と笑うひとから蹴った

8
アスファルト割って顔出す野の花にひとの畏敬が不足している

9
披瀝ひれきしたひとの数だけチョコ買いに走った二月十三日に

10
夢のあと嘲笑うひとにならなくてよかった(きみはよくやっている)