第四話 なんだ、やっぱり
銀座での敗北(と認識されていること)がどうにも悔しくて、金曜日、仕事の帰り道にTSUTAYAに寄ってドラえもんの映画のDVDを借りた。ドラえもんがニューシネマ・パラダイスに負けないくらいに名作が多いことを、きっと彼は知ら…
銀座での敗北(と認識されていること)がどうにも悔しくて、金曜日、仕事の帰り道にTSUTAYAに寄ってドラえもんの映画のDVDを借りた。ドラえもんがニューシネマ・パラダイスに負けないくらいに名作が多いことを、きっと彼は知ら…
春もやが街を支配する水曜日、珍しく平日に休みを取った。いわゆる年度末の有給消化というやつだ。私がそのことを彼に伝えると、「じゃあ、僕も」とわざわざ休みを合わせてくれた。ありがたいような、ただのありがた迷惑のような、どっち…
1 断言が断罪になるというのなら早く私を馬鹿と貶して 2 この駅に快速列車が止まらないのも寂しさも私のせいだ 3 鈴虫に唆されて僕はいま誰も知らないソリストになる 4 メロディを重ねるたびに嘘がほらバレていくから早く歌お…
金曜日の新宿で待ち合わせた。なんでまた、こんなやかましい街に? その問いに彼は、 「スタバに行こう」 と返してきた。 街を見上げればあちらこちらで微笑んでいる、人魚のロゴマーク。 「どのスタバ? この街、スタバだらけだよ…
金曜の夜の新宿を、傘もささずに歩く彼は、数多のネオンを睨み返しながら歩いている。その後ろを、訥々とした足取りで私はついていくのだ。 新宿駅を出てはじめて、雨が強まってきたことを知った。濡れながら歩くのは少ししんどい。 「…
いやに暖かい風の吹いた日、芽吹きかけた衝動を噛み殺しながら、彼は神保町を歩いていた。古本屋とカレーとサブカルチャーの香り漂うこの街に、彼は自分を遺棄する場所を探していたのだ。 その両目には諦観とひと匙の狂気のなり損ない。…
あなたがどんな造形をしていても 私にはわかるから もう着飾るのはやめてください あなたがどんな憧憬を抱いていても 私にはわかるから もう浸るのはやめてください あなたにしか見えない姿を きちんと見せてみせましょう もちろ…
先日「消しゴムがほしい」という記事の中で、私は「線引きがバカらしくなる社会であってほしい。健常者か障害者か、性的指向、学歴、資格、宗教、国籍、そういうものの境界線が消しゴムで気軽に消せるような。」と書いた。 当然そんな消…
私がいなくなるときにはちゃんとあなたに報告します 手紙を書きます、かわいげのないくせ字になりますけど この前一緒に見た映画には風が全然吹いていなかったので あの館内のどこかには爆弾が隠されていたのでしょう 気づいたら破裂…
どうも、待てないらしい。心の中で「さっさとしろ」と舌打ちする割に直接伝える勇気がないから、SNSに書き込んで鬱憤を晴らすらしい。 今日、ランチで車いすの友達ととある定食屋に行った。会計時、その子が私に車いすに掛けているポ…