バス停

ゆりかごは遠くにあって手を伸ばす理由もなくて夏が去ってく

セミたちの声にまぎれてから笑う そんなあなたがやっぱり好きだ

木陰から顔を突き出すバス停よ 優しい街に連れてってくれ

光から逃れるために明日など何処にもないと言い聞かせている

アスファルトに落ちたセミの抜け殻を踏んで己を空蝉と知る

好きなだけ私を責めて構わない それがあなたの限界だから

君の骨 小皿にのせて眺めるとなぜかくしゃみが止まらなくなる

「おかえり」を言わせてほしい いつかまた人間として再会したい

麺つゆを薄めすぎたと後悔しなんだかんだで笑いあう今日

暗闇の中で見つけた幸せはずっとポッケにしまってていい