謝辞

私が誰のことも笑わないのは

心優しいわけではなくて

誰かをあざ笑うときの自分の醜さを

思い知っているから

きれいな言葉や

正しい行動ばかり求めていたら

臆病な自分だけが

水底に残ってしまいました

嘘つき。

嘘つき。

みんな嘘つき。だから私も。

引導を渡してくれてありがとう

もうすぐあなたの番みたいだよ

あなたは本当に優しいね

でもそれだけだね

嘘をつくのも下手だけど

生きることが下手みたい

だから私は

あなたが好きだ

言葉という借り物を失ったときにはじめて

目に見えるものを美しさと呼びたい

この肉体を破って鳴った音だけが

あなたの耳に残りますように

私がなんにも信じないのは

決して楽になんてなりたくないから