捨てられるだけの尾ひれがひらひらと彼岸で我を手招いている

この街にかもめはいない錆びた目をひっさげ歩く魚ならいる

包丁のせなで弾かれゆく鱗きらきらとしてああ生きていた

包丁でずんと切断した頭部にごめんと添えて生ごみ入れに

スーパーの鮮魚売り場で泣いていた魚の目をしたかわいい少女

パック詰めされた魚の瞳にも素敵な世界は映るだろうか

遠い星からはるばるとやってきてあっという間に水揚げされて

真っ昼間ひとりテレビを観ていると魚になってしまうことがある

空港でちゃんとチケット見せたのにクール便として空輸された

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人はみな魚になって痛覚を失った指を動かしている