あらすじ
指先から体が徐々に黒蝶に変化する奇病に冒された少女・麻衣子は、居場所を失い精神科病棟で暮らしている。
同じくそこに入院しているのは、詩歌の形で不随意の予言を行う文学青年。
「過去」という亡霊はどこまでも付き纏い、前に進もうとする者たちの邪魔をする。
「私の居場所は、何処ですか?」
その問いに対する答えが見つかるとき、「三つの終焉」が不可避であることを、黒蝶だけは知っていたのだろう。
主な登場人物
樋野麻衣子
指先から体が徐々に黒蝶に変化する奇病に冒された少女
白田真水
都内某所の病院に勤める精神科医。麻衣子の主治医
黒峯羊子
真水の大学の同輩。某大学の法医学教室に所属している監察医
工藤征二
麻衣子の生活する精神科病棟に入院している青年。詩歌の形で不随意の予言を行う
後藤晶子
麻衣子の生活する精神科病棟に新たに入院してきた少女
工藤俊一
高校の社会科教諭で、征二の兄
小湊浩之
奪うことでしか満たせない、極めて不完全な存在