1
降り注ぐ火の粉を数えているきみ正常なんて野暮な季節だ
2
ゆりかごを胸に置きざり泣きかたもわからずきみは大人になった
3
打ち上がるたびにこっそり見つめてたまつ毛の長いきみの横顔
4
お土産は大事な人を数え買う片手で足りずじんわりとなる
5
真っ青な田んぼを鷺が堂々と羽ばたきもせず満たされている
6
東京へ戻る列車はまたの名を現実行きと呼ばざるを得ず
7
夏休みなのにいまだにさん付けだ全部花火のせいにしようか
8
夏の宵うつつのきわに腰掛けていつかの花火思い出すきみ
9
ゆえに月ありぼんやりと眺めてるゆううつさえも守りたい夜
10
あのバスは行き先がないとつぶやくきみを誰にも否定させない