posted on2021.1.7.
私の庭(という強制的沈黙)
遠くで破裂音がして 目が覚めた青い夜は 寂しくなってもいい 冷たい廊下を裸足で歩いて 自分の首を絞めようとして でもできなくて泣きました カチューシャが似合わなくなって 夢の国だけでワンピースを纏って どんどん静かになっ... 続きを読む
posted on2020.5.26.
Good-by chalon(dreaming forever)
街を歩いていると、ああ私ってほんとうに独りなんだなと思えるから好き。万が一もう一人、私が向こうの道からのたのた歩いてきてもちゃんと無視できるくらいには強くなりました。失うべき音が一つもないこの街の唯一の汚点が私。とても心... 続きを読む
posted on2020.3.26.
アパハアパハアナアオセオ
桜の花びら舞う下で「おめでとう」と言われて以来、私は常に桜の散ったあとのことを考えているのです。ちっとも似合わなかった制服をやっと捨てられる、とつぶやいたら少しだけ寂しそうな顔をしたアンパン。それが好きだからそう呼ばれて... 続きを読む
posted on2020.2.29.
鳥と蔦はあなたを見ています
私の認識する小さな世界の中で 腐った五線譜が蔓延って 狂人の生誕を祝っている ディア Mr.ピーターパン 永遠の少年よ 肉体は老い易く尚 精神萎え易し ネバーランドに連れ去った 少女の私は今日もまた ケタケタ笑って水草を... 続きを読む
posted on2020.2.25.
アサシンが朝日に目を細めるとき、そのそばで私は何に涙するんだろう
あなたはひどくためらう。愛することも、愛されることも。愛を拒絶するほどの傷は、何年何月何日何時何分何秒につけられましたと証明する手立てがない。 心の底から、悔しいと思う。目に見えるものしかやはり人々は信じない。数字に、具... 続きを読む
posted on2020.2.20.
おとぎばなしに風は吹かない
命だったものの上に 累々と打ち捨てられた 流行りの正義(感)と ヒトナミの中で 私はようやく溺れました 何が悲しいって 見上げた星空の何処にも 約束が見つからなかったのです 孤独などもはや 詠うための言い訳に 変質して久... 続きを読む
posted on2019.12.27.
pinta(糸電話のひみつ)
せっかく神様と糸電話してあなたの秘密を聞き出そうと思ったのに、耳に入ってくるのは痙攣しながら諧謔を弄する言葉ばかり。 たかが孤独です、糸電話で繋がったところで埋められるものではないし、そもそも孤独を癒してほし... 続きを読む
posted on2019.10.17.
BCC: I love everything except “you“
なぜかしらあなたは私にあまねく了解可能な理由の明示を迫ってくる。そんなものは仮に存在してもおおむね嘘なので「冬か来る前にあなたへ手紙を宛てるんです、奥多摩の小さな美術館の隅に飾ってもらえるよう」と柔らかく抵抗すると、あな... 続きを読む
posted on2019.9.10.
僕のためのランパトカナル
今日はランパトカナルについて学びましょう。あなたのためであり、僕のためであり、みんなのためであり、誰もが地球にすべて帰するための貴重な手段の一つですから。 (英)lampatcanal (日)ランパトカナル (仏)la&... 続きを読む
posted on2019.8.17.
バイバイ、wi-fi
バスターミナルで誰かを待つふりをして 老婆が巧妙な罠を張る 家路を急ぐ人々が一人残らず 孤独に苛まれますようにと 願いを込めた売り物のマッチ バスターミナルは前しか見えない人だけ 老婆が何度も言問する 家路を急ぐ人々に一... 続きを読む
posted on2019.8.17.
愛のみぞおち、青の記憶
君からの手紙を全部焼きつくし残った灰を愛と名付ける みんなが希求している愛とは、大抵が残滓なのだと思う。本来なら欲求のみで生きられた僕らが愛を求めるようになって、この星はおかしくなった。思い出は青い記憶となり、砂塵のごと... 続きを読む
posted on2019.8.17.
我が青春のカリカチュア
ガラス瓶を割って ノートを引き裂いて 思い出の歌を燃やして それでも無傷の世界を憎んだ 勝手に祝福されている季節が 容易く流す光が乱反射して 有象無象の天使達に歓迎される 僕は命を度外視して 悲しいことがある... 続きを読む
posted on2019.8.17.
阿部礼二は僕らを殺し続ける
何が起きた あの日あの時 風が吹いた あの日あの時 それだけだ ただそれだけ アジサイも萎れてしまった (何も考えるな) 鼓動は徹底的かつ正直に脈打つ そんなことはわかっていたのに 何を喚いて叫び求めたところで 机の上の... 続きを読む
posted on2019.8.17.
優しい窓辺に風鈴がひとつ
私は優しい世界しか知らない 仕舞い忘れられた秋口の風鈴みたいに 必要ないと笑われたものばかり両腕に 大切に抱えて暮らしています 夕焼けってあれさぁ 空は火傷してないの だってすごい赤だよ 空は痛くないのかな そんなことを... 続きを読む
posted on2019.8.15.
【断片】 <思いつき>
誰にとっても了解可能な言葉に呪詛は宿らない だからあなたの唇はいつも乾いていたのかしら /いくら舌舐めずりしたところで 満たされることなどなかったね/ だから私は(as 虚しい抵抗)「これ」を並べる ランパトカナル ラン... 続きを読む
posted on2018.11.15.
私が女の子だったころ
私が女の子だったころ 私にはなんでも空想できて その代りなぁんにも無かったのよ、と彼女は笑った。 彼女に言わせればこの世には 逆回りする懐中時計を 首からぶら下げてブランコを漕ぐウサギがいて いつも寂しい、寂しいとぼやい... 続きを読む
posted on2018.11.14.
citrus in the dark/waltz
私はあなたの傷のありかを知っている。あなたが一番痛がる場所を知っている。知っていながら、そこをえぐる。知っているからそこそ、そこをえぐる。三拍子でえぐる。それが罪になるのなら、もう恐れるものは何もない。失うものといえば太... 続きを読む
posted on2018.11.14.
マグカップ(All you need is…)
貴方が寝ぼけ眼で毎朝淹れてくれるコーヒーは、私にとって幸せの香りだ。駅前で買ってくるそれらは、専門店で挽かれてその場で真空パックされる。鮮度を保つために。 私は、たまに貴方を真空パックにしたいと思う。刻一刻といつかやって... 続きを読む
posted on2018.11.14.
プリンセスプロファイル
人魚のことなんだが あいつは嫉妬深くて 海の藻屑になって尚 眼球だけは漂わせて 王子様が老いてゆく その様を炯炯として 睨み続けているのだ 灰かぶりについては 極彩色の復讐を企て 新品のギターを買い しならせる特訓中で ... 続きを読む